シリコンバレーで学ぶ② トップダウン型のリーダーシップ
◆危機感をあおるべきか、盛り上げるべきか
目標や課題解決以外に、全体の雰囲気を盛り上げる、士気を高めるというのも、リーダーの重要な役目だ。ポジティブにいくか、失敗に訴えるか(ネガティブでなく)? 売上目標100に対し予測が95の場合、全社会議でどう発言をするか? 日米ではその方法が180度異なる。
「目標がクリアできないようでは駄目だ!」そうやって緊張感、危機感をあおると、みんな引き締まったいい顔をする。先日、日本に帰国してボルテージの入社式に出席したとき、軍隊的、号令、一糸乱れぬ起立で、怖いくらいだった。このやり方は、日本人にとっては効果的だ。
しかし、SFスタジオの全社会議で僕が厳しいことを言うと、シュンとして「この会社には将来性がないのかな」という表情をする。「95%までいった! もう少しだ、やってやろうぜ!」と、いい点を強調し、ウソでもいいから盛り上げるべきなのだ。米国人は、このままでは厳しいとわかっていても、社長が「GO!」と宣言すると元気を出してくれる。ちなみに、シリコンバレーでは、小学校でも常に皆でチームを盛り上げる風土が根付いている。この感覚差の原因は分からないが、日本は戦後の厳しい時代があったからだろうか?
◆日本にシリコンバレー型を取り入れると、どうなるか?
日本でシリコンバレー型のリーダーシップを取り入れる場合、一つの会社でも、既存事業はボトムアップ型、新規事業はトップダウン型などと使い分けるのがいいのではないか。
新規事業でのリーダーの育成として リーダー候補には、起業経験を通したリーダーシップの開発機会を与えるのがいいだろう。日本の起業環境はシリコンバレーほど整ってはいないし、社員は企業内に留まりたい傾向が強いため、「社内ベンチャー」が向いているかもしれない。その際、次の3つの要点が欠かせない。
リーダーに権限を与える。成功、失敗に合わせ、報酬、降格などのルールをしっかり設定する。
② 「ゴール・解決法を語らせる」
A4の用紙1,2枚でいいので、ゴールや達成策など自分の考えを紙に落としさせ発表させる。これを習慣にする。
③ 「ポジティブに盛り上げる」
商品の完成、初めての販売など小さな結果を皆で喜ぶ。盛り上げて、チャレンジングな雰囲気を維持する。