津谷祐司 公式サイト

会社改革の500日


【R2 vol.2】新卒セミナーで追加したこと

2019/04/16


 
 2年ぶりに、新卒向けセミナーで話すことにした。学生たちと向き合うことで、事業展開のヒントを得れると思ったからだ。

20分で話したのは、なぜこの会社を作ったかという起業ストーリー。自分の就活、映画留学、社内ベンチャー経験を織り交ぜ、物語創作へのこだわりや企業ビジョン「恋愛と戦いのドラマ」に込めた想いをアピールした。

もう50回も話した内容だが、今回、新たに加えたことが3つある。
 
 

1.学生1000人と面接し気づいた、消費と生産の取り違え

 
 一つは、職業選択で「自分が好きな分野」を考えるとき、消費行動として好きか生産行動としてかを取り違えるなという事だ。

どういうことか?職業選択は、自分の「好き」「得意」と「時代のニーズ」が重なり合ったものを選べと言われる。僕もそう思うが、学生さんの中には「好きな事」を取り違える人が多いのだ。例えば、ゲームのプレイや映画を観るのが好きだからゲーム・映画の制作会社を目指すというケース。これは間違ってる。制作作業は好きでない人にとっては単調で面倒なだけのシンドイ作業なので、プレイが好きなだけでは続かない。まず、もの作りが好きであることが前提だ。過去1000人との面接を振り返ると、取り違えてる人が多かった。

仕事に活かせる「好きな事」とは、作る、サービスを提供する、交渉するなど、生産やビジネスに結びつくことに限る。これは、企業が好きなこと、という観点でも同様だ。
 

 
 

2.作家とは逆方向だが、ユーザーに楽しんでもらうものを提供する

 
 二つ目は、作家主義がサービス精神に繋がるという話。

僕個人もそうだが、ボルテージは作り手志向の強い会社だ。作家主義ともいえる。だから自社オリジナル企画ならよいが、他社から借りてきたIPではうまく商品化できない。

実は、この作家主義は厄介で、作りたいもの≠売れるもの、というジレンマが生じる。会社を大きくするため、これまで作りたくないものを作るという局面もあった。純粋に作る喜びから考えると、妥協にも思える。ここまでは従来の僕の認識だが、2年前に変わった。

きっかけはリアルイベントだ。会場でユーザーさんが楽しむ顔、喜ぶ顔を目の当たりにし認識が変わった。彼女たちは何か月も前にチケットを買って、その日を心待ち、当日はおしゃれをして来てくれる。こちらもテンションが上がり楽しくなる。やってよかったと心底思った。売れるから作る、が、楽しんでもらいたいから作るに変わった。社員のみんなも同じように感じてると思う。
作家主義とサービス精神は真逆と思っていたが、そうではなかった。
 

 
 

3.社員の力を引き出す/若手の裁量

 
 三つ目に加えたのは、「社員の力を引き出す」ことに力を入れていること。

この2年、30代後半の事業リーダー育成に力を入れている。新分野へ事業を広げるためだ。新規事業を立ち上げるのは難しく、2年前は僕も彼らも未熟でサービス終了になった事業もあるが、企業成長のためこの育成を止めるつもりはない。

また、入社3年未満の若手からも、ボルテージの最大の魅力は若手の裁量が大きい事だという言葉をもらった。皆で提案を競い、良い案は積極的に採用するという文化が根付いている証拠だ。この辺のことを早速追加した。

ついでに、HPに載せている企業ビジョンも修正した。組織に関する第3項を「自発と責任」をキーワードとし、自発精神を重んじる事、同時に失敗にめげず挑戦し続けて欲しいという願いを込めた。
 

 
 

4.事業拡大に欠かせない3点だった

 
 以上3点は、学生にためになることを話そうと思ってこの2年を振り返り気づいたことだ。このように言語化してみると、事業を広げるため我々こそ再認識すべき3点だと思う。学生の参考にもなったらよいのだが。

以上

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