津谷祐司 公式サイト

サンフランシスコなう


SF発祥 「Uberドライバー」は儲かるのか?

2015/08/21

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UberとAirbnbは、サンフラン発祥の自営ビジネス・開始ツール
「アイドルタイム・ビジネス」の先駆けとして、Uber(ウーバー)とAirbnb(エア・ビーアンドビー)が世界に広まりつつある。アイドルタイム・ビジネスとは、個人が所有している車や部屋を、自分が使っていない時間(アイドルタイム)に活用してビジネスにしてしまおう、というものだ。両社ともサンフランシスコが発祥。通販サイトを立ち上げるより簡単で、個人でも容易にビジネスを始めることができるため瞬く間に街中に広がった。
 
Airbnbは、自室を世界の人々と貸し借りするためのマッチングサイト。192カ国で60万件の登録がある。しっかり者の知人が、1年以上前からこのシステムで空き部屋を貸しているということだった。
 
Uberは、新手のタクシー配車アプリ。58カ国の300都市で展開されている。一般タクシーと違うのは、普通の人が自分の車を使ってタクシーになるということ。利用者は、クレジットカードを登録し、専用アプリをスマホにダウンロードする。 タクシーが必要なときはアプリの地図をタップすれば、付近のUberドライバーが駆け付けてくれる。
 
この所、Uberに乗る機会が10回ほど続いた。はたしてUberドライバーは儲かってるのか、直接聞いてみた。
 

一年前は儲かったけどね、という人。今も稼げるよ、という人。違いは、やる気と工夫
儲かってない人は、こんなパターン。なぜかアラブ系移民が多い。NYで家具屋に勤めていたが店が潰れ、その後数年仕事がなかったという人。LAでビル掃除を10年やっていたが、ずっとその日暮らしだった人もいた。「サンフランに来てUberドライバーを始め、1年前の夏までは儲かってた。ドライバーをやる人がまだ少なかったから。でも今は、ドライバーが多過ぎて客は一日数人」と嘆く。「仕事はのんびり昼過ぎから、5時間くらいにしてるよ」
 
サンフランでは儲からないのかなと思うと、稼いでいる人が一人いた。プレスの利いたシャツを着た30代の白人男性。「Uberは3年やってるが、調子は毎年上がってきてる。今、朝10時だけど、今日はあんたでもう7人目。朝6時からやってるからね。朝は長距離客がつかまりやすい。長距離がどこで捕まるか?市の北西の住宅街だね。金融街は昼過ぎからだな。サンフランからサンノゼの1時間コースも日に3往復はするよ。毎日10時間は運転してる」 稼ぐ人はもう一人いたので、割合としては2割。断然少数派だ。
 
結局、競争状態の中で稼いでいる人は、稼いでやろうという意識が強く、そのために自分の頭で考え、創意工夫を凝らしている。早起きや長時間労働もいとわない実行力もある。当たり前の結果だった。
 
変わってたのは、30代のヤングエクゼクティブ。車は、ハイブリッドの小型車。「本業はIT系で別にあって、Uberはこの3か月、楽しみでやってる。仕事帰り、一日1人か2人だけ乗せる。日本、原宿、蕎麦、大好き」 どうも自分で事業を起こす気でいて、Uberを試行体験しているらしかった。
 

日本でも、稼ぐドライバーは、戦略と投資
日本に帰ったときのこと。朝5時に羽田に着き、乗った個人タクシーがピカピカのベンツEだった。新車で1000万円近い。
 
「こんな高い車で、採算取れるの?」「実はこれ、50万円で買ったんです。新車のクラウンより全然安い。革張りだから、ワックス掛けたら新車にしか見えないでしょ」「外車が趣味?」「いや、戦略なんですよ。今のタクシー業界は本当に厳しい。一番儲かるのは、役員クラスのビジネス客。そういう人は、国産タクシーには乗らない。乗り心地が悪くて。乗りなれてるのはこういう車。ハイヤーは少なくなったし、白手袋で黒ベンツ運転してるタクシーは希少なんですよ。気に入ってくれたら名刺渡すんです。すると、長距離の予約が入るんですよ。リピートも」「なるほど。僕も名刺下さい」 (Y)

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