津谷祐司 公式サイト

サンフランシスコなう


ラティーノ駐車場でニヤニヤされる

2014/06/30
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オフィスには車で通っている。朝7時、家族全員で車に乗り込み家を出て、子供3人を小学校で降ろし、東と2人、市内のオフィスへ向かう。8時頃オフィス付近に着き、いつもの駐車場に車を停める。70m角の青空駐車場で、取り仕切るのは、浅黒い肌のラティーノ達(メキシコ系アメリカ人)だ。ここのボスが面白い。

 

車を入れると、まず、ボスがやってくる。日焼け顔に麦わら帽子の40代。苦虫を潰した不機嫌な顔で「出庫は何時?」と、つっけんどんに聞く。僕が時刻を言うと、カードに書き込みながら、部下たちに大声で指示を飛ばし、車を詰めさせる。朝の出勤時は、車がひっきりなしに入る書き入れ時だ。モタモタする部下に容赦なく叱咤を飛ばす。部下10人のきびきびした動きが気持ちよい。僕が20ドルを払うと、ボスは、手にした1ドルの札束から釣りの3ドルを抜き出し、グイッと押しつけてくる。半年間、愛想のかけらもなかった。

 

ある日、僕が1か月日本に行ってた時のこと。東は1人で駐車場に通っていたのだが、ボスが、「最近ダンナ見ないけど、どうした?」と尋ねてきたそうだ。「仕事で日本に行ってます」「へえ、そうなの」その場はそれで終わったそうだが、出張が2,3度続いたとき、「ダンナはまた日本か?本当に仕事か?別の家族が待ってるんじゃないのか?」と冗談を言ってきた。

 

後日、僕がサンフランに帰ってきたときは、「日本はどうだった?楽しかったか?」と、ニヤニヤ笑いながら聞いてきた。「本当に仕事なんだよ」といっても聞き入れず「いいんだよ。頑張ってるねえ」とニヤつく。次の日、車を入れたときは、男達10人がニヤニヤ笑うようになっていた。どこの国でも、この手の話題は好きなようだ。

 

その日以来、強面だったボスは、毎朝僕の顔を見るなり「ヘイ、タフガイ!」と笑顔?で声を掛けてくる。「うちは4人の子持ちだよ」とも教えてくれた。世界のどこでも生きていけるタフガイは、アンタらの方だよ!競争激しいこの街で、毎朝が少し楽しくなった。(Y)

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