ベトナム アウトソース先の選定基準は?
◆アプリ開発のアウトソース先、ベトナムを訪問した
5月初旬、1泊3日の強行でホーチミン市を訪ねた。ようやく売上が伸びてきたSFスタジオを黒字までしっかり持っていくには、まず、開発費を抑える必要があり、その対策としてベトナムの開発ベンチャーに、一部作業をアウトソースすることにしたからだ。
SFの開発人件費は、ジュニアレベルのエンジニアで1人あたり月$6.5 K(80万円)と世界一高い。東京の2倍以上だ。この圧縮はシリコンバレー共通の課題である。
◆インド、フィリピン、ベトナム?選定基準はコストだけじゃない
当初、アウトソース先の候補に挙げたのは、インド、フィリピン、ベトナムの3国。インドは、英語のレベルが最も高く、先進国からの受託経験は豊富だ。しかしその分、人件費は高い。1人あたり月$4 Kと、SFの6掛けで安くはない。また主流業務はWeb サイトやデータベース関連で、ゲームなどエンタメ系には慣れていない。
もう一つの弱点は時差だ。インドから見てSFは地球の真裏にあり、SFの朝9時はインドの夜9時、SFの夜7時はインドの朝7時となる。毎日スカイプするのに12時間の時差は辛い。
時差は意外に重要だ。込み入った話をメールのみで済ませるには限界があり、週1、2度の直接コミュニケーションは欠かせない。テンパっているときなど、現地の時間帯が昼・夜と違うことで喧嘩になることもある。テンションのズレが発生するからだ。一方が夜でゆったりと一日の反省モードに入っているときに、朝仕事を始めようとしている相手国が、アレもコレもと言う。夜側の国は、それをうっとうしく感じることもあるし、朝側の国からすれば、お前らやる気あんのか? となる。時差はなるべく小さいほうがよい。
フィリピンは、コスト的には月$3Kで安いほうだ。SFとの時差は8時間で適当。ただ、受託の歴史が浅く、開発技術もまだ低い。アプリ分野に最適といわれるアジャイル型開発(細切れ開発)の経験がなく、ウォーターフォール型(全部開発)が主流で、英語レベルも高くない。
そしてベトナムは、英語レベルは高くないが、人件費が最安なのが魅力である。月$2.5KとSFの3分の1。彼らにとって高価なのは人間でなく“キカイ“、パソコンだという。時差は9時間で許容範囲だ。コストと品質、仕事のやりやすさの面からベトナムの企業に決めた。