津谷祐司 公式サイト

クリエイティブ起業のすすめ


自プロ② 自主コンテンツのキッカケを掴む「インサイダー戦略」

2015/10/05

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経験のない個人が、コンテンツ作家になるキッカケ

自分オリジナルの映画やゲームを作って稼ぐようになるには、才能や運が欠かせない。修行のためには芸術大学に入ったり就職しないなど、リスクテイクも必要。だから、大抵の人は諦める。しかし、普通に就職したが、家族持ちになる前にどうしても一度チャレンジしたい、という人がいる。良い方法はないか?
 
難しいのは、最初のきっかけ掴みだ。僕の経験から、次の3ステップを紹介したい。
1.自主製作 → 2.業界キーマンを掴む → 3.チャンスを逃さない
 
僕の場合、モバイルコンテンツやネット起業の分野で、このステップを辿った。映画や出版でも基本ステップは同じだ。山場は、第2ステップ。業界の要ポジションの人を、いかに掴みインサイダーになるかだ。
 

借金で自主製作し、友人の反応から学ぶ

最初の作品は、自己投資で作る。製作会社に脚本や企画書を持込んでも、実績がない若者に資金を出すお人好しはいない。ジレンマは、作ってみないと作り方を学べないし、実績ができないことだ。これを乗り越えるには、自主製作しかない。長年かけて貯金する余裕はないから、親、友人、またはカード会社から借りることになる。300万円なら集まる。崖っぷちの制作だから、自ずと真剣になるだろう。
 
作り方の基礎は、映画制作でもネットサービスでも、本とセミナーで十分学べる。あとは、ビデオカメラやノーパソ片手に実制作あるのみ。映画の場合だと、脚本作成、スタッフ募集、撮影段取りなど、一段階ごとに課題にぶつかるが、乗り越え進むことで、多くが学べる。やらない人とは決定的な差がつく。
 
当然、いきなり凄いものは作れない。それでも、作る過程で自分なりのテーマや表現法を発見するだろう。できたものは、友達に頼んで見てもらい、広く意見を聞こう。言葉に表れない反応もみる。自分の強みと、それに反応してくれる客筋を知ることは、制作者としてとても大切だ。
 

業界キーマンとつき合い、インサイダーになる

最低限の製作経験を積んだら、業界人に会いに行こう。手前でネット販売していても限界がある。目当ての業界にそれなりの規模があるなら、作品とお金をさばく問屋機能を持った会社と人間が存在するはず。それが業界の要だ。映画やゲームならプロデューサー、出版なら編集者、起業なら投資家など。コンテンツで稼ぎたいなら、資金が作品に、作品が売上に変わる大渦に身を投じないと始まらない。
 
もちろん、力を持っている人ほど忙しく、簡単には会ってくれない。ビジネスの付き合いがある人を辿って紹介してもらうとか、企画募集の担当者にヒヤリングを申し込むとか、熱意が必要だ。僕が映画留学してた頃は、電子メール普及前だったので、休みになると、ファックスを打ち電話を掛けまくった。その結果、在米の日系映画5社、日本の映画会社6社とのアポを取り付けた。
 
ゲリラ戦術だが、取材を申し込むという手もある。記事を掲載する媒体は、あらかじめプライベートのWebサイトを立ち上げておく。ユニークな視点で取材と掲載を続けていけば、大物だって会ってくれる。注意したいのは、プロデューサーに会ったとき、企画や作品を押し付けないこと。鼻で笑われ、次がなくなるのがオチだ。
 
やるべきは、付き合いを続けること。漠然と面会を申し込んでもダメ。相手の役に立つことを提案しよう。先ほどの取材というのも、記事やブログでその人の考えを把握したうえで、再整理や発展に役立つような質問を考える。最新の調査レポートを持参するのも手だ。僕が携帯ゲームで起業したときは、キャリアの担当者が求める形態を把握し、自分の強みであるストーリー性と掛合わせて企画を立て、ユーザー調査のレポートを携えて何十回と足を運んだ。やり手担当者の指摘から学ぶことも多かった。
 

新展開や穴埋め募集のチャンスを逃さない。そこにいるべし

月に1回の付き合いでも、新参者にチャンスが廻ってくることは十分にある。プロデューサーは常に複数の案件と製作ラインを抱えているが、制作の滞りが頻繁に起きるからだ。次の二つは典型的なチャンス場。
 
「レギュラーの穴埋め」
製作時期が近付いているのに、レギュラースタッフが病気で倒れ欠員になった。すぐに補充が必要だ。
 
「新展開や新シリーズ」
業界全体にわたる新展開や、プロデューサー個人が新シリーズを始めるとき。デジタル時代の今、変革は数年ごとに起きる。モバイル業界では、2006年、ソーシャル化が一気に進み、2012年、ガラケーの多くがスマホに移行した。今後、ネットフリックスが大変化を起こすだろう。既存スタッフだけでは不足する。
 
廻ってきたチャンスには飛びつこう。ハリウッドの話だが、B級映画を量産していたプロデューサー兼監督のロジャー・コーマンが、急に録音スタッフを補充する必要に迫られた。事務所に出入りしていた大学生に「経験ある?」と声を掛けた。「もちろん。5年もやってますよ」と自信たっぷりに答えたので「じゃあ、頼むよ」に。帰宅後、説明書を必死に読みチャンスをモノにした学生は、後の大監督、フランシス・コッポラだ。このような話は、どの業界でもゴロゴロしている。

 
キッカケ後は、定常のオリジナル路線へ

ひとつのキッカケを定常状態にもっていくには、日頃の準備がものをいう。少しできると思われると、どんどんアウトプットを要求されるからだ。アイデアストックや技術修練が足りないと注文はそこで途絶えてしまう。暇なときはストックと鍛錬に励もう。
 
定常にもっていく鍵は、路線化、シリーズ化だ。相手の要求を満たしながら自分なりのオリジナル路線が確立できると、ビジネスは安定し、質と稼ぎが両立した高みへと昇っていける。 (Y)

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