津谷祐司 公式サイト

クリエイティブ起業のすすめ


米国進出のオフィスを、どのエリアに構えるか?

2014/06/30

 

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ボルテージで米国進出しようと決意したときのこと。まずオフィスを決めなければ、と、東とサンフランに飛んだ。2012年GWのことだ。不動産会社に候補を見繕っておいてもらい、3日で10件以上を見て廻った。

 

案内の人が言うには、サンフランシスコ地域にオフィスを構えるなら、まず、エリアを決めなればならない。シリコンバレーか、サンフランシスコ市内か?米国での成否を左右する重要な選択だ。

 

シリコンバレーには、ずっと憧れを持っていた。ジョブズとゲイツの火花の散らし合いもリアルタイムで知っている。そこにオフィスを構えてみたい、とぼんやり考えていた。

 

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行ってみると、シリコンバレーは、力が抜ける街だった。広々とした平野に、ポツンポツンとオフィス棟が点在する。日本でいうと、厚木のような場所。樹木に囲まれたビルは、灰色の巨大な箱で、何の飾り気もない。アップルやグーグルの社員は、所有する何棟ものビル(キャンパスと呼ばれる)の間を、自転車で移動する。のんびりと牧歌的で、自然と眠気が襲ってきそうだ。

 

市内は全く逆の世界。狭い地域にビルが林立し、NYウォール街にいるようだ。ビジネスの中心はファイナンシャル地区と呼ばれ、東京丸の内とも同じく、金融機関が多い。スーツ姿のビジネスパーソンたちが、コーヒー片手で足早に歩いていた。

 

結局、市内に決めた。シリコンバレーはあまりに広々し、そこでコンテンツを考えたり作ったりするイメージが湧かなかったからだ。コンテンツは、人間があふれる都会でしか作れない。渦巻く欲望や葛藤を、肌で感じることが欠かせないのだ。

 

市内の一部にSOMAと呼ばれる地域がある。古い工業地域から再開発されたため家賃が安く、お金のないハイテク企業に人気という事だった。その一角のフロアを借りることにした。写真は、一階ロビー。

 

聞くところによると、市内のオフィスに勤めたがるのは独身の若者が多く、反対に、シリコンバレーは家族持ちが多いそうだ。確かに、市内には、ツイッターやセールスフォース、ジンガなどサービス系、コンテンツ系の会社がほとんど。シリコンバレーは、OS、ハードウエアなど重厚長大な会社が多い。

 

ボルテージUSAが市内にオフィスを構えて、もうすぐ2年になる。この景気低迷下にあって、サンフランシスコの家賃相場は上昇を続けている。市内の値上がり率は年20%。我がロシア系のビルオーナーも、毎年、値上げを仕掛けてくる。ついに家賃相場はNYも東京も抜いて世界一。それでも、サンフランシスコへの参入企業は引きも切らず、この数年は慢性オフィス不足だ。スマートフォンやネット企業が米国経済の牽引車である限り、このゴールドラッシュは10年以上続くだろう。

 

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