シリコンバレーで学ぶ② トップダウン型のリーダーシップ
◆シリコンバレーでは、管理職になる時点で強制的にリーダー教育をする
リーダーシップをどうやって獲得するか? 日米では大きく違っている。
日本企業の場合、社員はゼネラリストとして育成されるケースが多い。新卒入社後、複数の専門分野にまたがったローテーションが施され、その延長線上で管理職への選抜が行われる。リーダーシップは、そのキャリアパスを通じて自然に習得されるものであり、管理職のポジションに就くころにはある程度備わっているととらえる傾向がある。このため、なかなかリーダーシップの開発に目が向けられなかった。
米国では、若いころは専門スキルを積みたいというスペシャリスト志向が高いが、管理職に選抜されると、それまでとは異なり、広い視野を持ち、チームをマネジメントするリーダーシップの習得が要求される。そのため、リーダー教育に積極的で、研修、評価、ローテーションがシステマチックに組み合わされた様々なリーダーシップログラムが開発され続けている。
(出典:「リーダー像に異変あり 日本は『強制型』米国は『調整型』」 2007 ヘイ コンサルティング グループ)
◆リーダーになりたい人、なりたくない人
シリコンバレーでも日本でも、働く人全員がリーダーを目指しているわけではない。
日本企業では、新卒入社後35~40歳前後までは横一線の出世競争が続き、そのプロセスのなかでリーダーシップを身に着けようとする。しかし現実は、新卒入社の全員がリーダーを希望するわけでも、その資質を有しているわけでもない。
シリコンバレーでは、30歳前後にはリーダーの資質が見抜かれ、エリートコースに乗る人とそうでない人に選別される。そして、エリートコースには、先述したようなリーダーシップ教育が施される。一方、エリートコース以外の人はスペシャリストを目指すことになる。当然だが、より権限と責任の重いエリートコースのほうが、スペシャリストより優遇され、報酬も高くなる。
リーダーはとてもストレスフルなポジションだ。ばらばらのメンバーをひとつに束ね、定めた目標へと引っ張り続ける。絶えずメンバーから不満をぶつけられるが、ファイティングポーズを解いてはならない。ちなみに、打たれ弱いといわれる「ゆとり・さとり世代」には、リーダーの立場になることを望まない人も多いようだ。今の日本企業は、早期のうちに将来のリーダーたる人材を選別しておくべきだと思われる。