津谷祐司 公式サイト

クリエイティブ起業のすすめ


シリコンバレーで学ぶ① キャリア自力開拓の精神

2016/04/26


◆20~30代は、よいレジュメを書くために役職と実績を手に入れる

 就業後はタイトル(肩書)に非常にこだわる。例えば、プロデューサーには、下からアソシエイト、ジュニア、プロデューサー、シニア、リードと5段階あるが、ほとんどの人が面談時に「次の契約からは1つ上げてほしい」と堂々と言ってくる。少し図々しいくらいだ。
 

 「上の仕事を十分こなせるから昇格したい」ではなく、「不十分なうちに昇格し、それから足りない技量を身に付けよう」という意識。背伸びをして自分を鼓舞する。日本人には、「地道に頑張っていれば黙っていても上司が」という沈黙の美学があるが、彼らの意識は真逆といえる。
 

 実績獲得にもこだわる。「こんなヒットゲームをつくりました」「このプロジェクトのこの部分を任されました」といった、非常に分かりやすい実績を欲しがる。極端にいうと、実績にならないことはやらない。手が空いたから同僚を手伝う、もない。一時的にサポートに回ってほしいときは、それ専用の肩書をつくってあげたり、きちんとしたプロジェクト名を与えるなど、本人がレジュメに書きやすい形にする必要がある。
 

ジョブディスクリプション

 なぜ、それほど肩書や実績にこだわるのか。もちろん昇格すれば裁量も給料も上がるからだが、実は転職によるステップアップが基本だからだ。本当の実力はレジュメの70%でも、面接では120%で猛アピール。目いっぱい背伸びして得た肩書は、次の職場でも原則そのまま適用される。「最強のレジュメ」を書き、転職を活用してホップ・ステップ・ジャンプ。キャリア開拓の強力な武器にするというわけだ。
 
 こうした彼らの意識を上手に活用するために、雇用側は、職種と役職ごとに職務内容を明文化することが必須で、「ジョブ・ディスクリプション」という書式を用いる。シリコンバレー進出初期、僕たちがもっとも頭を悩ませたのが、この記述だ。しかし、これがあることで、責任範囲が明確、評価がシンプル、残業が減るなどのメリットがある。
 

 

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