津谷祐司 公式サイト

クリエイティブ起業のすすめ


シリコンバレーで学ぶ① キャリア自力開拓の精神

2016/04/26


◆レイオフさえ、キャリアチェンジや起業のきっかけ

 シリコンバレーの特徴のひとつは「頻繁なレイオフ」だ。1人の社員に対して、2~3年ごとにその波がやってくるイメージだろうか。自発的な転職より、レイオフされての転職のほうが多いくらいだ。しかし彼らはたくましく前向きに、それをキャリアチェンジのきっかけとしてとらえている。
 
 レイオフの多さは、新陳代謝の激しさを表している。シリコンバレーでは、ほぼ2~3年おきに新しいビジネスモデルが流行る。企業は変化に対応しようと必死だ。最近では、音楽配信やシェア・エコノミーのベンチャー企業が乱立したが、多くが淘汰された。従業員に対しても「最新分野に貢献できない人材は去って頂く」というのが当然なのだ。

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 ある職種の募集が多いということは、その仕事に先があることの証だ。給料が高い職種は、超売り手市場で、今でいえばAI技術者やデータサイエンティストだろうか。それでも生き残れるのは一握りだが。逆にレイオフが多い職種は、先がない仕事ということ。そこにいる人は、できるだけ早く別のスキルを身につけるべきである。明解なのだから、迷わず必要とされる分野を見極め、スキルを学び、関連のベンチャーに移って活躍すればよいのだ。

 
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 シリコンバレーには、社会人向けの学校がたくさんある。キャリアチェンジするなら、職探し前に1年勉強し、新たな資格を取るなどは普通で、働きながら夜間や週末に学校に通う人も多い。スキルは会社の武器ではなく個人の武器だから、会社の研修を待つのでなく、自力で身に付けるというスタイル。
 
 また、大学院やプロフェッショナルスクールなど、高いレベルの選択肢も用意されているから、30代を過ぎてのキャリアチェンジも不思議ではない。
 
 「起業経験あり」という話もよく聞く。シリコンバレーでも起業の成功率は低く、1~2年で閉じたという話が多いが、失敗から得た経験が役立つことはわかっているから、それを堂々とレジュメに書いてくる。ただし僕は、注意深く話を聞いて、商品づくり・販売・組織運営の分野で大して学びを得ていない場合は、いっさい評価しない。
 

 ちなみに、レイオフが多いといっても、横暴な方法が許されているわけではない。レイオフが許されるのは、事業縮小や撤退のための人員削減のみ。当然だが、能力不足を理由に特定の個人を馘首にしてはダメ(この場合は適正な職階に降格すべき)。例えば、対象部門の人が集められ、「右半分は解雇、左半分は残留」など、恣意性を排除したやり方が求められる。だから、レイオフされた人も、日本のように「本人の能力不足」と受け取られることはない。
 

 

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